|
夜の街で犯罪者たちと戦うバットマンとして活動を開始してから2年目の若きブルース・ウェイン。
犯罪が頻発する腐敗した街ゴッサム・シティでは、街の有力者達が惨殺される猟奇的な連続殺人事件が発生。犯人は犯行現場にバットマンへの挑戦状とも取れる、暗号や謎の言葉などのリドル(なぞなぞ)を残すことからリドラー(ポール・ダノ)と名付けられます。
(バットマンフォーエヴァーに登場したジム・キャリー演じるリドラーは、テンションが高くコミカルでまるで柳沢慎吾さんのようでしたが、今作でのリドラーはそれとは真逆なかなりダークな凶悪犯でした。)
ブルース・ウェイン=バットマン(ロバート・パティンソン)はゴードン刑事(ジェフリー・ライト)と執事アルフレッド(アンディ・サーキス)の協力を得ながら、探偵のように謎を解きリドラーを追い詰めて行きますが、捜査を進めて行く過程でウェイン家にまつわるある秘密に辿り着きブルースを苦しめることに・・・・。
セリーナ・カイル=キャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)との出会いや、街を牛耳るマフィアのボス カーマイン・ファルコーニ(ジョン・タトゥーロ)の右腕であるオズワルド・チェスターフィールド・コブルポット=ペンギン(コリン・ファレル)との死闘なども描かれ、約3時間という長い上映時間は飽きること無くむしろ短く感じたほどでした。
幼少期に両親が殺害されてしまうという悲しい過去を持つブルースは、犯罪者に対する抑えようのない怒りの衝動が前面に出すぎてしまい、正義というよりも復讐のためにバットマンとして行動するために、殴り倒し気絶した犯罪者をなおも殴り続けたり、バットモービルでペンギンが乗るマセラティ クワトロポルテを追うシーンでは、容赦なく体当たりする抑制のきかない激しい狂気的なカーチェイスを繰り広げてしまいます。
これまでのバットマン映画では、すでに成熟し冷静な判断ができるブルースが描かれてきましたが、今作では両親の死というトラウマを抱え、若くて経験も乏しいがゆえに、善悪との狭間でもがき苦しむブルースの苦悩が滲みでた、ヒーローとして人々に認識される以前の未熟なバットマンの姿が綴られ、ダークでフィルム・ノワール調でサスペンスフルなトーンのストーリーと世界観、暗闇での光と影を表現した映像美などの相乗効果により、完成度の高い作品に仕上げられています。
気になる登場するクルマは、ブルース・ウェインの時にはシボレー コルベット スティングレー C2、バットマンの時に乗るバットモービルはワイルド・スピードに登場しそうな、無骨な感じのアメリカン・マッスルカーでした。
監督は「猿の惑星」のマット・リーヴス。
キャットウーマン、リドラー、ペンギン、アルフレッド、ゴードンといったお馴染みのキャラクター達の特徴を的確に捉えて描写し、特にバットマンとキャットウーマンとの微妙な関係性が上手く表現されていると感じました。
バットマン過去作品の中でも特に評価されている「ダークナイト トリロジー」と呼ばれるクリストファー・ノーラン監督によるダークナイト三部作にも匹敵するほどの傑作と感じた最新作「THE BATMAN―ザ・バットマン―」。
正式発表は現在されていませんが、シリーズ化は確実だと思われます。
デートにもおすすめの映画です。