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エジプト・ナイル川をクルーズする豪華客船内で、ハネムーンを楽しむ大富豪の美しき娘リネットが殺害されるという事件が発生。容疑者はリネットの結婚を祝福するために集まった乗船客全員。名探偵ポアロによる真犯人探しの謎解きが始まります。
豪華客船という「密室」、「全員が容疑者」、「名探偵登場」というお馴染みのパターンなのですが、事件に至るまでの導入部分を比較的長く描くことにより、観客に関係者全員が怪しい容疑者であるかのように見せることに成功しているのと、ポアロにより暴かれるトリックが絶妙なので、物語に引き込まれてしまう優れたミステリー作品となっていました。
更に、エキゾチックでミステリアスな雰囲気を醸すエジプトを舞台にしていることが、より一層サスペンス要素を引き立てているように感じました。
そして今作では若き日のポアロも描かれ、トレードマークである「口髭」に隠された秘密が明かされます。
2017年公開「オリエント急行殺人事件」に引き続き、監督と主役のポアロを演じたのはケネス・ブラナー。
事件の犠牲者となってしまう大富豪の娘リネットを演じたのはガル・ガドット。
事件の鍵を握る重要人物の一人ジャクリーンを演じたエマ・マッキーは、マーゴット・ロビーにとてもよく似ている女優さんでした。
「愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う禁断のトライアングル・ミステリー」というこの映画のキャッチコピーには事件の動機が隠されていると共に、エジプトのピラミッドをも連想させる優れたコピーだと思います。
この映画の原作である、アガサ・クリスティー作「ナイルに死す」が発表されたのは驚くことに1937年なのだそうです。今から85年も前の小説が現在でも人気を博し映画化されるのは人間の感情が今も昔も変化していないからだと感じました。
デートにもおすすめの映画です。