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第二次世界大戦下、連合軍はイタリア・シチリアの侵攻を計画していました。シチリア征圧が成功すればヨーロッパ大陸への侵攻が有利に運ぶからです。しかし敵国であるヒトラー率いるナチス・ドイツも連合軍がシチリアを攻撃してくることは予測しており戦力を増強していました。
そんな中、「イギリス海軍情報部」と「MⅠ5」は「ミンスミート作戦」と呼ばれる奇策をチャーチル首相へ提案します。
この作戦は、秘密裏に仕入れた死体をプロフィールも含めイギリス軍高級将校に偽造し「イギリス軍がギリシャへの侵攻を計画している」という内容の偽造機密文書を携行させ地中海に放出し、敵国スパイから偽造機密文書がヒトラーのもとへ届くように仕向け、ナチス ヒトラーを欺くというもの。
偽造文書により騙されたヒトラーの指示によりナチスの兵士がシチリアからギリシャへ移動している最中に軍備が低下しているシチリアへ攻め込むという作戦です。
スパイ小説さながらの、この作戦が実際に遂行されたというのですから驚きです。
しかもこの作戦に携わったメンバーの1人として、あのイアン・フレミング中佐(ジョニー・フリン)が登場! イギリス政府における諜報活動の経験がその後、イアン・フレミングの「007 シリーズ」執筆活動に影響を与えたようです。「M」のモデルであると言われている実在の人物であるイギリス海軍情報部ジョン・ヘンリー・ゴドフリー少将(ジェイソン・アイザックス)も登場します。さらに「Q」支部というセクションも出てきました。
「ミンスミート作戦」の中心人物ユーエン・モンタギュー少佐を演じたコリン・ファースは「キングスマン」シリーズのようなアクション満載のスパイではなく頭脳派のスパイを好演。
映画「オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体」は派手さはありませんが、作戦のシナリオを作成する登場人物たちの人間性や感情、恋愛なども盛り込んだ、二重スパイや三重スパイなどが入り乱れる緊迫感のある実話に基づいた作品でした。
「裏切りのサーカス」、「イミテーション・ゲーム /エニグマと天才科学者の秘密」、「クーリエ:最高機密の運び屋」などのような渋めのスパイ映画です。
尚、この作戦の英雄である死体は現在、丁重に葬られているようです。
現在、緊迫しているウクライナ情勢でもロシアと対立するアメリカ、EU、NATOの西側諸国、更にはロシア支持と思われる中国でも水面下では様々な諜報活動や情報戦が展開されていると思われます。いずれにしても戦争にならないことを願うばかりです。
(このブログを書いた後、ロシアはウクライナに侵攻してしまいました。ロシアの即時撤退を望みます。)