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ジェームズ・ボンドを演じる俳優としては6代目となるダニエル・クレイグによる007シリーズは、過去4作品において、00エージェントへの昇格と加齢による体力的な衰え、生い立ち、性格、恋愛、葛藤、強さだけでなく弱さも描き、決して超人ではないジェームズ・ボンドの人間性や内面を追求し、そのキャラクターに深みを与えてきました。
第5作目の最新作「NO TIME TO DIE」はその革新性をさらに昇華させ、公開前のインタビュー動画でダニエル・クレイグが「究極的には、愛についての作品」と語っていた通り、007シリーズの要素をすべて網羅しながらも、かつて見たことのないストーリー展開となっており、ボンド映画においてラストシーンに涙したのは今作が初だと思います。
MI6を引退したボンドはジャマイカで平穏な日々を過ごしていましたが、CIAの旧友フェリックスから誘拐された科学者の救出を依頼され現役復帰。このミッションで犯罪組織スペクターの首領「ブロフェルド」以上に危険な敵であるマッド・サイエンティスト「サフィン」と壮絶な戦いを繰り広げるボンド。その結末は・・・・・?
更に、かつての恋人ヴェスパーを死に追いやったスペクターの幹部Mr.ホワイトを父に持つマドレーヌとの恋の行方は・・・・・?
M、Q、マネーペニー、タナー、マドレーヌ、ブロフェルド、フェリックスは過去作と同様の俳優が演じ、シリーズ初登場の悪役サフィンはボヘミアン・ラプソディのラミ・マレックが怪演。
女性00エージェント ノーミ役はキャプテン・マーベルのラシャーナ・リンチ、キューバの諜報員パロマ役はかつてナイブズ・アウトでダニエル・クレイグと共演したアナ・デ・アルマス。2人とも強い女性を好演
今作で、新たなボンド像を描いたキャリー・ジョージ・フクナガ監督は日系アメリカ人という事もあり、能面や日本庭園といった和の要素を上手く取り入れ、さらに#MeToo運動やLGBTQ、人種差別といった事柄にも触れていました。
そして、ビリー・アイリッシュによる主題歌「NO TIME TO DIE」の哀愁漂うメロディーラインはボンドの切ないストーリーをより魅了的にしています。
世界的な新型コロナウイルスまん延の影響で度重なる公開延期を余儀なくされ、本来の予定から約1年半遅れでの公開となってしまった「NO TIME TO DIE」は、ダニエル・クレイグによる最後のジェームズ・ボンド役にふさわしい、待った甲斐がある素晴らしい作品となっていました。
デートにもおすすめの映画です。
トム・フォードのスーツを身にまといアストンマーティンを操るカッコいいダニエル・クレイグ ボンドの雄姿を見られなくなるのには寂しさを感じます。
今作でかなりハードルが上がってしまったと思われるボンド役。次の俳優はいったい誰なのでしょうか?