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「決してひとりでは見ないでください」
子供の時見たホラー映画「サスペリア」。内容はほとんど覚えていませんが、キャッチコピーはいまだに記憶に残っています。
先日「Stay Home」で見たのは、2018年に公開されたリメイクの「サスペリア」
あのクエンティン・タランティーノ監督が今作を見て、その完成度に涙したと言われる映画です。
舞台は1977年のドイツ 西ベルリン。ベルリンの壁の脇に佇むマルコス・ダンス・カンパニーにアメリカからやってきたスージーが入団。しかしそこは表向きは舞踊団として運営されていますが、実際には魔女達が巣くう恐ろしい場所だったのです・・・・。
ホラー映画なので、かなりグロテスクなシーンもありますが、東西冷戦や左翼によるハイジャック事件といった、実際の当時における抑圧的な政治的背景の中に、ナチス・ドイツの犠牲となったユダヤ人や古くに行われていた魔女狩りといった虐げられた人々を描き、さらにそこに宗教や芸術的な要素も含めた複雑な内容となっているので、単純にホラー映画として分類することのできない映画となっていました。ラスト付近の壮絶なシーンには、おどろおどろしい曲でなく、トム・ヨークの穏やかで優雅な雰囲気のある曲を使用し、開放や救済と捉えられる結末となっているのです。
すごい映画を見てしまった感のある、デビット・クローネンバーグ監督作品風の、少し難解な映画でした。人により様々な解釈ができる内容だと思います。
主演のスージー役はドン・ジョンソンの娘ダコタ・ジョンソン。「ドクター・ストレンジ」のティルダ・スウィントンはカリスマ振付師のマダム・ブランと精神科医の老紳士ジョセフ・クレンペラー博士の二役を演じ、さらにもう一人の人物を演じています。特殊メイクにより同じ人物が演じているとは思えない役作りです。
監督は、男性同士の恋愛を描いた映画という「君の名前で僕を呼んで」で注目を浴びたイタリア人監督ルカ・グァダニーノ。
最近知ったのですが、ルカ・グァダニーノ監督は、現在まだ企画段階の「スカーフェイス」のリブート版映画の監督を務めるらしいのです。
「暗黒街の顔役」のリブートとして製作された「スカーフェイス」はブライアン・デ・パルマ監督によるアル・パチーノ主演の名作。
「君の名前で僕を呼んで」は見ていませんが、今作「サスペリア」のような作品をつくる監督が「スカーフェイス」をどのように仕上げるのか興味津々です。
実現することを願います。