誰が敵か味方かわからない、裏切りと駆け引きが繰り広げられる中、ただ一人ぶれずに自分の信念を貫く「ビートたけし」演じる「大友」を主人公にした「アウトレイジ」シリーズ。
その最終章はまさに「大友」らしいシーンでラストを迎えます。
衆議院議員解散による総選挙を控えたこの時期。新党の結成なども相次ぎ、情勢のわからない各党の対立や協力関係。或いは、大義が有るわけでもなく、もっともらしい事を言って、単に当選したいが為に注目されている新党を渡り歩いているようにしか思えない、議員候補者等を見ていると、この映画の内容や登場人物を思い浮かべてしまいます。
日本人には奇数の組み合わせを美しいと感じる感性が古くから有り、その事から俳句の五七五、七福神、七五三、七夕、三三七拍子と言った言葉が誕生したそうです。北野武監督はそれに習い、カット割りの全てが奇数の秒数で構成されるように意識しているそうです。
それらの作品は、お笑い要素の強い物、ほのぼのとした雰囲気の物、青春映画など様々なジャンルの作品が生み出されていますが、中でも「その男凶暴につき」「HANABI」「BROTHER」「ソナチネ」そして今作「アウトレイジ」シリーズと言ったバイオレンス要素の強い作品が特に優れているように感じます。
北野武監督の作品は海外でも高く評価されており、特にフランスでは数々の勲章を受章しています。北野作品はフレンチ・フィルム・ノワールと言われるジャンルの映画の雰囲気に似た物があるようにも思います。
「アウトレイジ 最終章」はデート向けとは言えないかもしれませんが、次回作では恋愛ものを予定しているそうです。
「北野武監督」は映画、小説、絵画など様々なジャンルの才能を持ちながら、気取らず、原点で有るコメディアンの仕事も「ビートたけし」として続けて、70歳になる今でも「鬼瓦権造」などの被り物キャラをぶれる事なく演じているのが素晴らしいと感じます。