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1989年に公開されたティム・バートン監督による「バットマン」から始まった1997年までの一連の映画シリーズはダークでありながら、ポップでユーモラスで幻想的な雰囲気が特徴的でした。
それに対して、クリストファー・ノーラン監督2005年「バットマン・ビギンズ」以降のバットマン・シリーズはダークでシリアスでリアリティーのある雰囲気が特徴的です。
元アメリカ海軍出身という異色な経歴を持つデヴィッド・エアー監督によるシリーズ最新作「スーサイド・スクワッド」は、それら二種類の特徴をバランス良くミックスした作風となっているように感じます。
その事は、登場人物にも反映されており、今作で、ジャレッド・レト が演じた「ジョーカー」はヒース・レジャー よりも ジャック・ニコルソン が演じたポップな「ジョーカー」に近い雰囲気があったように思います。
ウイル・スミス が演じた「デッドショット」は、四千メートル先にいる動く標的も打ち抜くことができるという狙撃スキルを持つ一匹狼の凄腕スナイパーでありながら、子煩悩で弱点は11歳になる「娘」というキャラクター。悪党部隊のリーダー的立場です。
過去は ハーリーン・クインゼル博士 という優秀な精神科医だった「ハーレイ・クイン」。「ジョーカー」の彼女で、「ジョーカー」の事を「プリンちゃん!」と呼び、強そうには見えないキャラクターなのですが、身体能力に優れていて、「GOOD NIGHT」 とサインされたバットで敵をボコボコにしてしまいます。
今は悪党になってしまったけれど、本当は愛する「ジョーカー」と結婚をして子供をつくり、平凡だけれど幸せな家庭を築きたいという願望もあるようです。
「ハーレイ・クイン」を演じた マーゴット・ロビー は「007」次回作で、ボンド・ガール候補にもなっているとの事です。
日の丸の仮面をつけた「カタナ」は本名を「タツ・ヤマシロ」という日本人で、過去に夫を殺害された悲しい過去を持つ女サムライというキャラクター。
彼女の武器は「ソウルテイカー」と呼ばれ、日本に実在した名刀工、千子村正 作 という設定の日本刀! 斬った相手の魂を吸い取るという妖刀で、まさに夫が悪人により斬られた刀その物なので、夫の魂も宿っています。その衣装には「我が刀は血を流す」と日本語で記されています。
「ここで私の人生が終われば、やっとあなたと一緒になれる」など、唯一、ずっと日本語でのセリフを喋り、悪党たちの決死部隊を監視しながら、自らも敵と戦います。演じたのは 福原かれん という日本人の両親を持つアメリカ国籍の方だそうです。
その他、悪だけど憎めない、どこかユーモラスのある濃い個性的なキャラクター達が、多数登場!
(ユーチューブ https://youtu.be/-Oh3ZR6h6hQ で登場する全キャラクターの紹介がされています。)
バットマン等のヒーローによって監獄へ送られたヴィラン(悪役)達が、減刑と引き換えに悪と戦うという、バットマン・シリーズ としてはスピンオフ的な内容であり、時系列的には「バットマンVSスーパーマン」直後のストーリーで、最終的には公開が待たれる「ジャスティス・リーグ」へとつながる展開になっています。
やる気がなく、協調性もない悪党部隊が、ある事をきっかけに、決死の戦いを繰り広げます。これは善と悪が紙一重というバットマン・シリーズのDNAが、今回も継承されているとも言えます。善が悪に勝ったのです。
アクション映画ですが、笑えるシーンもあり、恋愛や家族愛、亡き夫への愛、人間愛など様々な愛が柱にあるストーリーなので、デートにも使える映画だと思います。
予告を見た限りでは、「軽いノリの映画だろう」と思っていましたが、軽すぎず重すぎず「バランス」の取れた雰囲気でした。
もちろん、ダークナイト(闇の騎士)も登場します。
音楽も良かったので、サントラを購入してしまいました。